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2017年9月 1日 (金)

土地建物運用的思考 〜 MBR・GPTの違いからフォーマットの話まで

えー、実際の土地や建物の運用の話ではありません。
HDDやSSDのパーティションに関する話です。
 
データを保存する上で非常に重要なデバイスであるHDDやSSD。

60TBのSSDが発表されるなど、近年は大容量化がますます進んでおりますが、それに伴いパーティション操作に対しての需要もそれなりにあるように思います。

でも、このパーティション関係の話って、初学者にとってわかりにくいんですよね。少なくとも自分はそうでした。
 
かつてネットを放浪しながら、試行錯誤しながら何となく理解していったわけですが、気づいてみればパーティション規格はmsdos形式(MBR形式)からGPT形式の時代へ。
 
しかし、ネットの情報はmsdos(MBR)の規格とGPT規格の情報がバラバラにあったりして、これから把握する人にとっては結構たいへんそうだなぁと、思っておりました。
 
で、いろいろと考えていて、『パーティション操作』を『土地や建物、置物の運用』に見立てるとわかりやすいかもしれないと思ったので、大雑把でありますが、そのような説明をしてみようと思った次第であります。
 
ということで、今回のテーマは、
土地建物運用的な思考でHDD/SSDのパーティションを考える
であります。
 
ちなみに、専門家では無いので、細かなところはご容赦を。 
 
 
 
 
〔そもそもパーティションって何だ?〕
 
パーティションというのはそもそも「仕切り」とか「分割」という意味。事務所などの部屋の仕切り、衝立、間仕切りをパーティションと言うこともありますね。
 
それと同様、HDD(やSSD)も論理的に分割することが出来ます。
 
Windows で「Cドライブ」とか「Dドライブ」ってありますね。あれはHDDを2つのパーティションに分割してるんです。(※リカバリー領域など隠しパーティションが存在している場合はもっと分割されていることになりますが。)
 
で、なぜパーティションなるものが存在するのかという疑問が湧いてくるわけですが、パーティションが分割されていると便利な面がいろいろとあるんですよ。まぁ、それに関する話はおいおい出てきます。
 
 
 
 
〔HDDやSSDは『土地』である〕
 
HDDやSSDそのものを『土地』と考えた時、500GBや1TBといった容量は、その『土地の広さ』と考えると良いでしょう。例えば、500GBは500haの土地、1TBは1000haの広さの土地といった感じです。(ココから先はSSDの表記を略)
 
また、各パーティションは、区切られた土地だと思えば良いです。
(例えば第1パーティションは、第1区画、第2パーティションは第2区画といった感じ。)
 
さて、土地を利用するためには、その土地の『位置情報』の管理ができていないと利用できません。(北緯○度、東経○度はココだよね〜、といった感じ。)
しかし、『位置情報の管理の方式』はいくつかあるんですよ。
 
msdos形式(MBR形式)やGPT方式といったものが、それにあたります。
そして、それぞれにメリット・デメリットがあります。 
 
 
 
 
〔msdos(MBR)とGPTは 『位置情報の管理のしかた』の違い〕
 
msdosとGPT、これは単純に位置情報の管理の『書式』が違うんですね。
で、msdos(MBR)方式は古く、GPT方式はその後にでてきた新しいものです。
  
msdos(MBR)形式のデメリットは、2TB以上の土地を管理できないことにあります。
 
 002_r
 
(※ msdos形式が作られた当初は、2TBのHDDが出てくるなど、想定外だったのでしょうね。
今や各パーティションテーブルが16バイトでは足りなくなってしまったわけです・・・。)

  003_r3_3
(※1 「エントリ1」には「第1パーティションに関する情報」、「エントリ2」には「第2パーティションに関する情報」が入る。各エントリに入る具体的な内容は、「パーティションの種類を表すGUID」や、「パーティションのはじめと終わりの位置情報」などになる。)
(※2 上記の表を見ればわかるが、GPT形式の場合、最大128個のパーティション情報を記録できる。それに対しmsdos(MBR)方式は4個までしか情報を記録できない。基本領域が4個しか作ることができないのはここから来ている。ここらへんの話は「 Parted でパーティションの作成(分割) その3 MBR編(2)」をどうぞ。)
 
011_r3
 
ちなみにGPT形式は2TB以上の土地も問題なく管理できます。
 
こんなふうにmsdosとGPTでは書式がだいぶ変わっているんですね。
さて、書式が変わると別の問題が出てきます。
 
それは何かというと、WindowsXPなどの古いOSではGPT形式は読めないわけです。つまり、GPT形式のHDDは扱えません。まぁ、当然といえば当然です。GPTは後からでてきた規格ですので、古いOSにとっては『なんじゃそれ? 俺らはmsdos(MBR)形式しか知らんよ〜』となるわけです。
 
ということで、古いOSでHDDを扱う場合は、GPT形式ではなく、msdos形式である必要があります。
 
  
 
さて、GPT形式もしくはmsdos形式のどちらでパーティションを切ったとしても、それだけではHDDは利用できません。
 
フォーマットという作業をする必要があります。
 
フォーマットというのは『土地の基礎』を構築するための『基礎工事』のようなもの。更地や沼地のままでは利用ができないので、『基礎工事』が必要なわけです。
 
で、どのような基礎工事が必要なのか、という話になるんですが、この『土地の基礎』にもいろいろと種類があるわけです。
 
 
 

〔ファイルシステムは 土地の基礎〕
 
『土地の基礎(ファイルシステム)』には、いろいろとあります。例えば「fat」や「ntfs」、「HFS+」、「ext2 , ext3 , ext4」などがそれです。
 
『基礎工事(フォーマット)』されて『土地の基礎(ファイルシステム)』が構築されて、やっとその土地が利用できるわけです。
 
 
各種ファイルは『置物』と考えれば良いです。(各種ファイルというのは、文書ファイルとか、表計算ファイル、pdfファイル、画像、動画データ等、何でもです。資材とか家具とか、まぁ適当な置物と考えれば良いでしょう。)
 
『土地の基礎(ファイルシステム)』が構築されてから、やっと『置物(各種データ)』を置くことができるわけです。
 
ただ、この『置物(データ)』は現実の置物とちょっと性質が違って、土地に置かれる時には「細かく分割されて」配置されます。本来ならば分割されれば現実の置物は壊れますが、実際はデータなので、分割されても結合されれば元に戻るため問題が無いわけです。ちなみに分割のされ方などはファイルシステムによって変わります。また、ファイルに対するアクセス速度や、不慮の電源断、強制再起動などによる耐障害性などの性能の違いもファイルシステムによって変わってきます
 
 
さて、このファイルシステム、稀にではありますが、壊れることがあります。
そしてこの「地盤(ファイルシステム)が壊れる」と「置物(データ)も壊れます」。
  
あってはならないファイルシステムの破損、これはほんの一部発生しただけでも被害は大きなものになります。が・・・、基本的には「ファイルシステムの破損の影響」はそのパーティション内だけで収まります。つまり、パーティションがいくつか別れていた場合、あるパーティションのファイルシステムが壊れたとしても、被害はそのパーティションのみで、他のパーティションには影響がありません。
 021_r
 
これはパーティション分割のメリットの1つであり、ファイル喪失のリスクを減らすことにも繋がります。
 
ちなみに、データが地盤上(ファイルシステム上)にあるときにフォーマット(基礎工事)を行うと、そのフォーマットされたパーティション内のデータも『ファイルシステムの破損』のところで話したのと同じように壊れます。もし、運用中のパーティションのファイルシステムを変更したい場合は、そのパーティションにあるデータを他へ移してからフォーマット(基礎工事)をする必要があります。
 
  
さて、こんな話をすると、「これからはパーティションは細かく分割して管理しようかな〜」なんて人も出てきたりするんですが、作成されたパーティションに、ある程度のサイズが無い運用途中で足りなくなることが結構あります
 
 
 
〔気軽にできない土地拡張〕
 
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上記のように、あるパーティションの空きが少なくなると、思いつくのが「パーティション同士を結合できないかなぁ〜」とか、「第3パーティションの一部を切り取って、第2パーティションにくっつけられないかなぁ〜」という発想。
 
結論から言うと、基本的にやめておいた方が良いと思ってください。
 
パーティション(というかファイルシステム)のリサイズや結合のできるソフトは無いわけでは無いですが、ファイルシステム上にデータがある状態でリサイズや結合を行うことは、土地の基礎の上に置物が乗っている状態で、無茶な基礎工事等を行うようなものです。ちょっとしたことがあれば、操作したパーティションのデータがすべて吹っ飛ぶようなリスクもあります。そういった危険性もあるのだと考えた方が良いでしょう。
 
パーティションのサイズを変えたいのであれば、パーティション内にあるデータを他へ移動させて、パーティションを一度削除してから作り直し、それぞれのファイルシステムでフォーマットしなおした方が無難、というか安全かと思います。
まぁ、一番良いのは、こういったことが起こらないよう、パーティション作成時に余裕をもったサイズでパーティション分割することなんですが、サイズはどれくらいにしておいた方が良いのかの判断は、結構難しいんですよね。
 
 
 
〔蛇足:起こってはいけない、土地位置情報管理台帳の破損〕 
 
「パーティションに関する位置情報」は、言わば「土地の位置情報の管理台帳」のようなものです。
 
この位置情報はどこに書き込まれるかというと、HDDの先頭部分の定まった位置になります。
 
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ちなみにmsdos形式とGPT形式ではサイズと構造が違います。(構造の違いについては前述の通り。)
 
さて、このHDDの先頭部分、つまり「土地の位置情報の管理台帳」が壊れたり削除されてしまったら、どうなるでしょうか。
 
結論は、「どのパーティションがどれくらいのサイズでどこにあるのかが全くわからなくなり、HDD上の全データにアクセスできなくなります。」
 
変なことをしなければ、そんなことは基本的に起こらないですはず・・・なんですが、それが絶対に起こらないという保証は無いと思っています。
 
(かつてBigDrive問題(137GBの壁)が騒がれた時、160GBのHDD使用時に突然HDDにアクセスできなくなるなどのトラブルが発生したことがありました。この時、HDDを再フォーマットや再パーティショニングをしてリセットさせようとしたのですが、いくつかのパーティショニングツールを試してはみたものの、これが全くできませんでした。わたしはてっきりHDDが壊れてしまったと思い、実験用のHDDとしていろいろいじっていたのですが、たまたまHDDの先頭部分をごっそり削除したら復活し、再パーティショニングできるようになった記憶があります。このとき、管理台帳にあたる部分が破損していたのでは無いかと推測しています。)
 
ちなみに、近年のHDDの壁といえば、すでに話題に出ている2TBの壁ですが、古いシステムで2TB超えのHDDを扱うとトラブルが発生するかも、という話題もあります。頭の片隅においておくと良いかもしれません。
 
(GPT形式に関してはHDDの終端に台帳のコピーが存在するため、復旧はmsdos(MBR)形式よりも行いやすいと思われます。)
 
 
 
兄弟記事
 『ファイルシステム小話 〜 ファイルシステムの種類
に続きます。 
 
 
 
 
 

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