2020:危機を自覚せずして、変革はないと思う。
新時代のリーダーの役割 「大企業のイノベーター」に必要なマインドセットとは
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2003/18/news007.html
日本企業が世界から取り残される危機感
DBICが設立されたのは2016年5月。メンバー企業には金融やメーカー、日本郵政グループなど、日本を代表する大企業34社が名を連ね、これらの企業で働く社員は約150万人に及ぶ。その中からイノベーター候補となる若手社員や、中間管理職を対象に、イノベーションを起こすためのプログラムを実施している。
母体となっているのは、日本経済団体連合会の情報通信委員会のメンバーによって09年7月に立ち上げられたNPO法人CeFIL(設立当時の名称は高度情報通信人材育成支援センター)。日本の企業に高度のIT人材が不足している現状を踏まえ、産学協同で人材育成を始めた。しかし、数年で大学との連携は縮小し、CeFIL理事長の横塚裕志氏と理事の西野弘氏は日本の将来を危惧していたという。
「当時、GAFAの台頭に限らず、ビジネスや社会にデジタルが本格的に入ってくる時代が来ることは感じていました。ところが日本の企業は相変わらず“シリコンバレー詣で”をしている状況でした。シリコンバレーの活動を見ても、日本の会社にそのまま持ち込めるわけではありません。このままだと日本は世界から取り残されると痛感しました」
こう話す西野氏は、IT産業の黎明期から多くの民間・政府が関わるプロジェクトに携わり、日本マイクロソフトやアップルのコンサルタントを務めてきた人物。日本の大企業がシステム開発などをベンダーに依存して、経営者がIT部門を理解していない状況を憂慮していた。
西野氏は15年、横塚氏とともに世界各地を訪問。すると、デジタル技術を活用した新たな動きが各地で起きていた。世界の変化についていかないと日本の大企業がイノベーションを起こすのは難しくなる――。そんな危機感を抱いた横塚氏と西野氏は、企業の意識を変え、知識を提供する組織が必要だと考え、共同でDBICを設立した。
イノベーションには個人の「アンロック」が必要ただ、DBICがさまざまなプログラムを用意しても、当初はうまくいかなかったと西野氏は話す。
「始めてみると、想像していた以上に日本の大企業は駄目だということに気が付きました。一番の理由は、大企業の社員は一人ひとりの感性を仕事に生かせていないことです。人間には五感がありますが、同じ会社に10年もいると、見える範囲の仕事だけをしていれば毎月給料がもらえるので、五感を使わなくなります。しかし、イノベーションや新規事業を起こすには、感性や認知力が不可欠で、それがなければ何もできません。
もう一つの理由は、大企業の社員があまりに世の中のことを知らないことです。業界のことは知っていても、業界の外のことは知らない。自分は◯◯社の◯◯部の人間だと肩書で考えるようになって、一人の人間であることを忘れています。これでは新規事業を起こすのは無理でした」
ハッカソンを実施してみると、大企業の中間管理職はスタートアップに「金を出してやる」と上から目線の姿勢を見せる。何度も資料を作成させ、3カ月ほど引っ張った揚げ句に「部長に駄目だと言われた」と言って事業が頓挫することも多かった。
さらに、経営者や上層部はデジタライゼーションとデジタルトランスフォーメーション(DX)を混同していることも多かったという。
「DXはデジタル技術を使うことではなく、ものの考え方、組織の在り方、働き方を変えることです。イノベーションを起こすためには、個人のアンロックが必要です。組織の枠をこえて、自分は誰で、一人の生活者であるという原点に戻らないと、イノベーターとして前に進めないのです。
いわゆる創業社長は自分自身をアンロックして、資産も能力もつぎ込みながら事業を起こしています。そこで、大企業の社員にもこのマインドセットを持ってもらうためのプログラムを開発しました」(西野氏)
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「重要視しているのは、次の6つの点です。いまあなたが行っていることは、本当に世界に必要なのか。そのことを実践するときに、お金に関係なく信頼を寄せてくれる仲間はいるのか。あなたがその事業を行う理由があるのか。全身全霊をかけてできるのか。自分の人生にとって喜びとなるのか。明日死ぬことになっても、心から笑えるくらいにやり切っているといえるのか。この6つの問いに対して常にイエスといえる状態を作ることが最低ラインです。
大企業に勤める人は、why(なぜ)を聞く力が弱いです。新規事業はwhyをきちんと語れないようではうまくいきません。金儲(もう)けのためだけでは、他社から『事業として大丈夫なのかな』と思われるので、なぜその事業に取り組むのかを探求できるように対話をします」(渋谷氏)
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大企業だからこその挑戦を
「ブートキャンプ」や「ダイビング・プログラム」の参加者の中には、すでに新規事業を立ち上げて活動している人たちがいる。
住友生命保険の社員は、シンガポールで障害者向けのコワーキングスペースを開設する実証実験を19年9月に実施した。国内では、日本ユニシスの社員が、DBICの長野県版ともいえる「一般社団法人長野ITコラボレーションプラットフォーム(NICOLLAP)」の立ち上げに、地元経済界などとともに参加。まちづくりとイノベーションの拠点となる「地域共創ラボ」を19年10月に開設している。
DBICが用意しているプログラムは、内容によって若手から中間管理職を対象としたものまであるが、SIPやJIPに参加しているのは30代が中心だという。
「20代は少し若いし、40歳を超えると少し考えが鈍くなるので、入社10年を超えた人が多いです。その世代が、いまの日本の大企業を変える、最後の砦じゃないでしょうか。プログラムを受けた人の中には、会社に戻って何も変えようとしない50代を見て、この組織にいる価値がないと思って独立する人もいます。
その問題点は、上層部も理解してきています。ですから、若手からの提案を受けた部長クラスに、『こういうことを社内で実施してもいいのでしょうか』と聞かれたときには、『もちろん』と答えています。日本の企業は予算や人事に口を出さなければ、何でもできます。大企業においても、イノベーションの環境を作ることは可能だと思っています。
上層部に理解があれば、若手は本当にやりたいことができるし、個人で自分の預金通帳を気にしながら進めるよりも、組織を利用した方がメリットは大きいでしょう。居直ってイノベーションに取り組めばいいのです」(西野氏)
いまこそ日本人には「素直さ」が必要DBICは現在もプログラムの内容を試行錯誤しながら、大企業のイノベーター候補の育成に取り組んでいる。今後、日本の企業がイノベーションを起こすためにはどのような人材が求められるのか、西野氏に聞いた。
「日本人はここ20年くらいボーッとしていたので、学び直しをしないと厳しいのではないでしょうか。これまでの延長線上で考えるのではなく、明治時代のように外からもう一回学び直して、日本人のいい部分をどう生かすかを模索する必要があります。
それを偉そうにやっていたら駄目ですね。だから、いまの日本人にとって何が一番大事かと言うと、素直さです。素直に事実を認めて、いま起きていることを理解すべきです。 好奇心があって、勉強して分かったことを素直に認める。そのときに認知能力が高いと、いろいろなことが見えるので、行動に移すことができます。この連鎖によって人は変わり、成長します。個人が成長していくことで、大企業にもイノベーションは生まれてくると思っています」
かなり同意できる部分があります。
特に「経営者がIT部門を理解していない」、というのはかなり頭の痛い話で、20数年前ならそれでも良かったかもしれませんが、現在ではかなり致命的。企業活動でのIT環境はもうすでになくてはならないインフラと化しているのに、その土台の理解度が低い経営者や上層部はまだまだ多いと思います。
(コンピュータを使えない、わからない某サイバーセキュリティ担当相とか、本当に最悪です。そんな上司の元で部下は大いに動けるとお思いでしょうか? スピードが重視されるセキュリティ対策にてこれは致命的かと。)
実際に危機が訪れないと変わらんのではないですかね。それじゃ手遅れなんですが。
話は変わりますが、このIT技術使ってああしたい、こうしたいと思っても、ITに疎かったり、保守的だったりする組織にいると、マジで新しいことができません。そんな前近代的なやり方で時間をかけてやらなくても、と思うこともしばしば。それ古いシステムで3時間でやっているけど、新しい技術使えば3分でできますよ。
こういったものを共有環境に勝手に導入するわけにもいかんので、自分だけの環境でやっとりますが、これ組織で導入すれば働き方改革に繋がると思うんですよね。しかし、IT部門に所属しているわけでもなく、それを言える立場でも無く、直属の上司に言っても「組織全体で環境を変えるのは厳しいし、これはこれで意味があるんだよね。」と言われるのがオチで、結局何も変わらず。
権限ある立場にならないと何もできませんね。組織的に今からすぐに改善したいというのであれば、経営者や上層部がITをもっと勉強するか、現場からの発案をもっと汲み取ってほしいですね。
現状、今の自分にできることはコツコツと勉強することぐらいですかね。
以上、個人的健忘録のグチでした。
※ 全てのものをIT技術で処理せよと言っているわけでは無いです。しかし、ものによっては、IT使ったほうが確実に良い、もしくは補助的に利用すると格段に良いと思われるものが多々あるかと思います。
【外部サイト】
・日本が失った天才、金子勇の光と影
(これは非常に残念な出来事だった。日本の世論が彼を抹殺したに等しい。彼らのような技術者の重要性を理解し、世論を説得するような政治家がいなかったことが日本の不幸かと。そしてそれは今も現在進行系かと思います。)
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